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そんなクオリティですが、短い文ができたので下に上げときます。
ちょっと前にぷち連載をしていた家庭教師×高校生設定「星屑デイズ」の続編というか番外編みたいなものです。本編はエド視点だったので今回はロイ視点で。
ノープランで書き始めるのはよくないと思いました……
それでも楽しんで頂ければ幸いです。
星屑デイズの内容がわからなくても、なんとなく読めると思われますが、本編は3話と短いので、忘れた方、読んでいない方は本編を先に読んでからでもいいかもです。
あ、サイトの方は明日復旧するかもということです^^
今日の話も復旧次第サイトにも上げときます~
あ、タイトルとかつけるの忘れたなぁ…
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最初は、面倒な話だと思っていた。
しかし、相手は彼ヴァン・ホーエンハイムだ。無闇に断ることは避けたかったし、相手の口の巧さに事が進んでしまって後に引けなくなった。
話を聞けば学年主席の天才だと言うし、家庭教師などすぐ用無しになるだろうと高をくくっていた。どうせ金持ちの家で育てられた典型的な優等生の餓鬼だろうし、相手に本心を見せずに接することには慣れていた。自分より一回り以上も年下の相手なんてほとんどしたことはなかったが、適当にやればいいだろう。そう思っていた。
しかし、出逢った彼は想像とは全く異なっていた。
父親に対しては乱暴な言葉遣いをするし、眉間に皺を寄せて終始不満そうな顔をして私を睨んでいた。そして極め付けに、二人きりになった瞬間にこう言ったのだ。
『あんたのその顔、嫌い』
私はそんなにわかりやすい愛想笑いをしていたのだろうか。否、ポーカーフェイスで名高いこのロイ・マスタングがそんなことあるはずがなかった。
それが、最初に彼に惹かれた理由だった。多分、ほとんど初めてだったのだ。私に張り付いていた仮面の正体に気づいた人は。気づけば、彼曰く「悪そうな顔」になって微笑んでいた。まさか、こんな餓鬼に見破られるなんて。面白いじゃないか。そう彼に少し興味を持った。
その後見た、彼の笑顔にときめいたのは秘密だ。いい年をして、ときめく、なんて死語だとは思うが、あの時の衝撃を他に言い表す言葉が思いつかなかった。
ああ、そうか。今思えば、もうその時から惚れていたのかもしれないな。
それから過ごした日々は、私の荒んだ心を癒してくれるような穏やかな日々だった。
そんな中で彼に惹かれていったのは、必然だったのだろう。
「ろい!」
「っ……ああ、すまない」
昔のことを少し思いだしているうちに、私はすっかり眠っていたようだった。目を開けるとすぐそこに、ぷうっと頬を膨らませて不満そうなエドがいた。見慣れた天井からここが自分の家だと悟る。
「ご飯できたって言ってるんだよ!おら、起きろ!」
そう手を引っ張られて、いつの間にか寝床になっていたソファから無理やり起こされる。そのまま手を引かれて良い香りが漂うダイニングへと導かれると、いつも一人寂しく食事をしている食卓には、綺麗に盛りつけられた料理たちが食べられるのを待っていた。色とりどりの料理が食欲をそそる。
「あんたがオレの飯が食べたいっていうからわざわざ来てやったんだぞ。ありがたく食えよ!」
元々、今日はエドの家へ家庭教師に行く日だった。今日は約束の金曜日。しかし、私がわがままを言って今日はこの家で授業をすることにしてもらった。もちろん目的は料理を作ってもらうことだったわけだが。
「恋人の料理が食べたいと思うのは、男なら誰だって願うことなんだがね」
「オレ、男だけどそんなこと思わねーけど……」
少し前までは、「恋人」という単語に過剰に反応して顔を赤くしていた彼だったが、今ではすっかり慣れたらしい。
そう。今、彼は私の恋人だった。嬉しいことに。
元々、彼も私を想ってくれていることはなんとなくわかっていた。だから、あとはきっかけだけだったのだ。まあ、彼は自分だけが想っているのだと諦めていたようだが。
星空の下でキスをして、告白をして、晴れて恋人になってからもう数ヶ月。
「今日、泊っていくだろう?」
「うえっ」
向かい合わせに座って食事をしている彼にそう微笑むと、彼は動揺したように肩を揺らして顔を一瞬で真っ赤に染めた。どうしたらそんなにすぐ顔色を変えられるのだろう。こういう反応がかわいいから、どうしても苛めたくなる。
「え、えと……すんの?」
何を、とは無粋な話だ。恋人の家に泊る意味を彼だってもう理解してる。まあ、そうしたのは私なのだが。家庭教師だから、みたいなマニアックな名目で教えたわけじゃ断じてないぞ。
「明日、学校は休みだろう?私も仕事が休みなんだ。何か予定があるなら仕方ないが」
「よ、予定は、ない……」
彼はそう首を横に振って、顔を真っ赤にしたまま俯いてしまった。
まだ身体を重ねたのは片手で数えられるほどだ。緊張するのもわかるし、毎回これ以上ないくらい大切に抱いてきたがまだ恐怖があるのかもしれない。
今まで、彼に無理はさせたくないと学校が休みの日を選んで身体を重ねていた。だから、私としては少しのチャンスだって逃したくなかった。彼といられる時間は案外少ないのだ。一緒に寝られる機会など更に少ない。
でも、身体を重ねることだけを私は望んでいるわけじゃなかった。ただ彼と少しでも長く一緒にいられれば、それで十分すぎるくらい満たされるのを自覚してる。
「今日はしたくないなら、それでも構わないよ」
「ち、ちがう!したくないとか、そういうんじゃないっ」
彼は今度は必死に首を横に振って、そして下を向いたままポツリと呟いた。
「……うれしい」
「嬉しい?」
「明日、朝起きたらあんたが隣にいるんだろうな、とか、明日はずっとあんたといられるのかな、とか……するのだって、恥ずかしいけど嫌じゃないし、傍にいられるの、すごいうれしいんだ、オレ」
耳まで真っ赤にして照れくさそうに、でも本当に幸せそうに笑う彼に、正直こちらまで照れ臭くなる。
いつもは素直じゃないのに、たまにこういう風に直球でくるからたまらない。すっかり彼の虜だ。私まで顔が赤くなってはいないだろうか。そうひとつ咳払いをして気を取り直す。
「じゃあ、明日はどこかに出掛けようか。遊園地にでも行こう」
「ほんと?!オレ、ソフトクリーム食べたい!あ、でも……」
「でも?」
一瞬表情を曇らせた彼に聞き返すと、彼は少し視線を逸らして何か言おうか思い悩んでいるようだった。でも意を決したのか、キッと私を睨んできた。顔を真っ赤にして涙目で睨まれても迫力は全くない。むしろ煽られてしまう。この前抱いたときの彼の表情を思い出して少し疼いた。何がとは言うまい。すまない、これは男の性なんだ。で、なんだ?
「きょ、今日、するとき……セーブ、しろよな!明日、起きられなかったら出掛けられないし……!」
ああ、だから。
そんな顔でそんなことを言われたら止まらなくなるに決まっているだろう。
どうやらまだまだ男の性についての教育が足りないらしい彼を、その後すぐベッドへ連行したのは言うまでもない。
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いろいろすみませんでした。。。